5-パイミオのサナトリウム Sanatorium Paimio 1928-33 / Paimio Finland No.1/55

中庭に面したメインエントランス。左手に共用棟、正面サーキュレーション棟、右手に病室棟。
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1928年コンペの要項が発表され1929年アアルト案が一等に選ばれ、1933年完成した結核療養所です。
ヨーロッパでは近代建築が華々しく生みだされていたこの時期、片田舎のフィンランドにおいて近代建築を実現させる為に、建物はもちろんのこと、家具、照明器具、洗面陶器、扉の取っ手・・・・全てデザインした30そこそこのアアルトにとって、得たものは計り知れなく大きかったに違い有りません。1927年のコンペから実現まで8年もかかったヴィイプリの図書館に、このパイミオでの経験が大きく生かされ、国際的評価と共に、数多くのアアルトのデザインモチーフが生み出されたように思えます。

1955年ウィーンでの講演でパイミオのサナトリウムについて、アアルトは次のように述べています。
「設計期間中に病気になって始めて病院に入院したときのことです、病室は横たわっている病人のために設計されて居らず、立った人の立場で設計されていた事が判りました。私の目は常に蛾の様に電灯の光に晒されており、すべてがベッドに横たわっている病人の為にデザインされていないのです。その病室は落ちつきも安らぎも与えてはくれませんでした。」
このような体験からでしょうか、アアルトのデザインのあちらこちらに患者への思いやりが見て取れます。

フィンランドにおける結核患者の減少に伴い、現在はトゥルク大学の付属総合病院として使われており、用途変更による改修でオリジナルな姿が多少損なわれては居るようですが、このサナトリウムは若きアアルトの足跡を、十二分にうかがい知ることが出来る貴重な建物だと思います。

by hirayama-susumu | 2005-03-08 22:15 | 5-Paimio のサナトリウム
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